書評暮らし
2号と3号が個人的に読んだ本を記録するとともに皆さんに紹介しようと思って始めました。書名の隣に点数の印が付いていますが、評価基準はあくまで主観的なものですのであらかじめご了承下さい。
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鏡川 新潮社
 4点。
 自分の胸中にあるいくつかの川の中で、特に思い入れの深い鏡川。母の実家の前に流れていた川だ――。著者の母方の血族が歩んできた生き方を通して、明治〜大正の世を描き出す。
 淡々と語り継ぐ筆致が良いとも言えるし、悪いとも言える。淡々としすぎていて感情移入がしにくく、果たして誰が主人公でどういう道筋を立てようとしていたのかイマイチ不明に思われた。ただ、文体というか、流れは非常に良くできていただろうと思う。だからこそ、途中で投げ出さずに読み終えられたとも思うのだが。
 
鏡川 鏡川
安岡 章太郎 (2004/04)
新潮社

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半落ち 講談社
 9点。
 現役の刑事が、妻を殺した。その本人は殺人の3日後に自首。殺害に関しては素直に自供したものの、自首するまでの2日に関しては一切口を割ろうとしない…半落ちの犯人に隠された秘密とは。
 映画化もされた作品の原作。最後の最後まで明かされない謎は、深い感動を伴う。最後の十数ページは鳥肌が立つほど感動してしまった。ミステリなのであまり内容に触れることはできないけれど、一読の価値は十分。是非読んでほしいと思うくらい。
 
半落ち 半落ち
横山 秀夫 (2005/09)
講談社

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夜のピクニック 新潮社
 8点。
 あるところにある、とある高校。この高校では、修学旅行の代わりに「歩行祭」という行事がある。文字通り、朝の8時から翌日8時まで24時間歩きっぱなしというもの。その一日に、甲田貴子は密かな賭けをしていた…。
 青春小説として秀逸。自分も高校生だったらこのイベントに参加してみたいと思える(実際は絶対に苦痛だと思うが…)。「ただ歩く」という行事なのに、登場人物はたくさんのことを考え、たくさんの思いを胸に歩き続ける。戻ることのできない時代の話だからこそ、大事にしたいと思うような話だった。
夜のピクニック 夜のピクニック
恩田 陸 (2006/09)
新潮社

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アンノウン 文藝春秋
7点。
 古処誠二のデビュー作。講談社メフィスト賞を受賞した作品が、文春文庫にきているところに、何かを感じてしまうのは気のせいではないのだろう。
 本作は、「接近」や「ルール」などといった近作を知っている人間からすると、文体が全く違うことに驚くかもしれない。自衛隊の中でのサスペンスということで、分かりにくい用語(等級など)に拒絶反応を与えないための措置なのかもしれない。が、おそらく現在の文体は著者が長い時間をかけて変化させたものなのだろう。
 文体は変わっているとは言え、土台がしっかりしているのに変わりなく、話として面白くまとめられている。が、ミステリーを普段読まない人間からすると、「ミステリーとして面白いのか?」という部分は難しい。しかし、話の意図するところは今の作風に繋がるのではないか。
アンノウン アンノウン
古処 誠二 (2006/11)
文藝春秋

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坂の上の雲(全8巻) 新潮社
6点。
 故郷の松山でつながる、秋山好古、真之兄弟と正岡子規。明治の一時代を駆け抜けた男たちを、日露戦争という時代背景と共に描き出す。
 内容は面白いんだが、いかんせん長すぎ。同じ説明がたびたび出てきたり、少し中だるみの部分があったり、ひどく長さを感じる部分もあった。もう少し紙面を削れるのではないかな、と思ってみたり。でも、その時代の息吹というものを感じることができる作品だったと思う。
坂の上の雲〈1〉 坂の上の雲〈1〉
司馬 遼太郎 (1999/01)
文藝春秋

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